林野庁長官賞 受賞作品の講評「伝統構法 二〇〇年住宅」
伝統構法はいかに地場の材料を使い、伝承された技術によって造られるかであり、そうして造られた住まいが「真の日本の住まい」と言うにふさわしいであろ
う。
この案は伝統的木組みと土塗り壁による伝統構法であり、架構は田の字型とし、折置・差鴨居等の木組み、竹小舞による土塗り壁としている。
真壁・梁あらわしを基本にする等、大工・左官の伝承技法が伝統的空間に見て取れる。
開放的なLDKを中心に象徴としての大黒柱を据え、心の拠り所として位置づけている。このような空間が、家族の思いやりや遠慮の心を育むのであろう。
伝統構法はねばり強く、田の字の簡明な架構は間取り変更に対応しやすい。
瓦屋根は日射を防ぎ、越し屋根や天窓が心地よい通風を促している。
高齢化を配慮した動線が自立性を高める間取りとなり、LDKにつながるぬれ縁は近隣交流の場となっている。(横島 誠司 委員)
|